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大阪の高性能×インテリア住宅、リーフアーキテクチャの猪倉です。
コロナウィルスの拡大が止まらない今日この頃。
事態の収拾に尽力いただいている、医療、物流、流通、行政関係の皆様には本当に感謝申し上げます。
また、自粛要請により、事業活動の縮小を余儀なくされている皆様方。しばらくつらい時期が続きますが力を合わせて頑張りましょう!
今日は、熊本地震ら4年目の4月14日となりました。
日本経済新聞 2016年8月19日
4月14日に1回目、16日に2回目の震度7を記録したほか震度6弱、強合わせて5回の地震が多くの人々を襲いました。私たち建築に携わるものとして衝撃だったのは、新築間もない、建築基準法を通ってるはずの家ですら倒壊したことです。私も、それを機会に改めて、建築構造の塾に通い、耐震等級を学びなおしました。
振り返れば今まで日本の建築は多くの地震被害にあいながら、法整備を整えてきました。宮城県沖地震を経験して「新耐震」と呼ばれる地震に強い規制が出来たにもかかわらず、多くの建物が倒壊した阪神淡路大震災。神戸で建築を学んだ身としては当時の神戸市役所(旧館・低層階部分)が座屈で圧壊した光景は衝撃的でしたし、その前年に開通したばかりの阪神高速湾岸線の西宮大橋が落下したのも大変な衝撃でした。
それからさらに、木造建築の部分でも耐震強化が図られたはずなのですが熊本地震では阪神淡路の教訓を得て強化されたはずの平成12年度基準で建てられた家でさえ、倒壊2棟、大破7棟の被害を出したことでした。それに比べ、耐震等級3で建てられた建物は倒壊、大破は1棟もなく、簡便な修理をするだけで済み続けられる程度の被害にとどまったのです。
国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書より
さて、そこで、質問です。
「(2階建て以下の)住宅の構造安全性は誰が確認していますか?」
いかがでしょうか?
これだけ地震被害が言われる中、どこかでチェックしてるはず、、、と思われますよね。
答えは
「誰も確認していない」
のです。
正確に言えば
「ほとんどの建築士は確認しているが、それを証明するすべはない」
ということです。
それに大きく関係している事柄が「建築基準法の4号特例」なのです。
国土交通省からのお知らせ文章
建築基準法に4号特例というものがあります。
これは、2階建て以下の木造住宅等の小規模建築物について、建築士が設計を行い、建築士である工事監理者が現場を確認した場合には、構造関係の審査や検査をを省略することになっているというものです。
つまり、構造的に安全でない建物が建てられてしまう可能性が十分にあるわけです。
この4号特例の欠陥に関しては以前から指摘されておりましたが、今回の建築基準法の改正でようやく一歩前進しました。この改正建築基準法は令和2年3月1日から施行されます。
しかし改正といってもその内容は4号特例はそのままで、建築設計者に対して、構造安全性を確認した図面の「保管義務」を課すというものにとどまりました。
国土交通省からのお知らせ。4号規定はそのままで構造図書の保管義務のみが追加される。
もともと、建築設計者には、建築に関わる図面を一定期間保管しておく義務がありますが、その保管図書に構造関係図書、例えば仕様規定といわれる四分割法、N値計算の資料、許容応力度計算などの構造計算の資料が加わっただけです。
建築を頼む施主からも、正しく建築が建てられているかを見る検査機関からも、なにか立ち入り検査でもない限りはわからないのですね。
これから家を建てる人は、やはり自分で自分の身を守る必要があります。
そして、そこで気にしておいてほしいのが耐震等級です。
建築基準法では震度6程度の地震でも倒壊しないレベルを最低基準として求められています。
(熊本地震ではそれでも倒壊した住宅があったわけですが)
この、建築基準法をクリアしたレベルの耐震性能が耐震等級1となります。
耐震等級の1.25倍の力でも倒壊しない建物が耐震等級2
耐震等級1の1.5倍の力でも倒壊しない建物が耐震等級3
となるわけです。
実際に熊本地震で本当に被害が無かったのはこの耐震等級3の建物だけでした。
さて、それでは実際に耐震等級とはどのような計算で決めていくのでしょうか。
耐震等級の判定には構造計算が必要ですが、この構造計算にもいろいろな種類があります。
高層ビルなどの大型建築などは除き、一般的な木造住宅に使われるものとしては
1.簡易計算(壁量計算・4分割法・N値計算など)
2、許容応力度計算(コンピューターソフトを使用したより詳細な計算)
があります。
この簡易計算でも一応、耐震等級の取得はできるのですが、精度としては許容応力計算には劣ります。実際に簡易計算でOKが出た場合でも許容応力度計算ではアウトとなる場合もあるのです。
また、フラット35Sの金利Aプランや、火災保険の地震特約を受けるためには耐震等級3を取っていても、「適合証明書」が発行されている必要があります。
これは計算だけでなく、検査機関によってそれがちゃんと認められている証です。これにも費用が掛かるため、計算はしていても適合書を取得していない場合は「耐震等級3相当」などと表現されます。入居後、いろいろな税優遇などを考えておられる方は要チェックです。
また、地震に対する強さを表すのに、耐震等級のほかに、制振装置とか免震装置をアピールされるところもあります。
免震に関していえば、かなり費用も掛かり、一般住宅ではあまり現実的ではないでしょう。制振に関してはいろんなダンパーを筋交い代わりに入れたり、制振テープと呼ばれる粘着テープを構造用合板に張るタイプもあります。
制振テープ
制振ダンパー
いずれにしても、だからと言って数値でどれくらい強度が増したかを調べるすべはあまりありません。
地震に対してはよく
「うちは桧の4寸角柱使ってるから大丈夫」
とか
「うちは○○制振装置を使ってるから大丈夫」
だとか、いろいろ言われるところもありますが、
前にこのブログでも書いた断熱等級と同じで要は
数字できちんと示されている性能
であるかどうかが大切なのです。
これから家づくりを検討される方は、多くのハウスメーカー、工務店を回られると思いますが、その時に是非、
「耐震等級はいくらですか?計算方法は?」
と質問してください。
そして、できれば耐震等級3を許容応力度計算で確保されているところで家づくりを検討してください。
建築基準法ぎりぎりの耐震等級1(それも簡易計算、下手したら何もしていない場合も)から許容応力度計算で耐震等級3を取得するする場合は
・構造計算費用
・基礎の鉄筋、コンクリートが増える
・軸組みの補強金物が増える
・耐力壁が増える
などで、100万円から200万円ほどのコストアップになる場合があります。
しかし、内装や住宅設備と違って、建物本来の強さな直接、そこで暮らす人の命にかかわってきます。
家づくりまず、ご家族の命を守る「構造安全性」が必須で
次に、健康で快適に暮らせる「温熱環境(高気密・高断熱・日照取得など)」が必要で
さらに、暮らしに豊かさを加える「良質な家具インテリア」が必要です。
いろんな宣伝文句や営業に惑わされずに、「数値で判断する」ことを身に付けられれば、「後悔のしない家づくり」ができるものと考えています。
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