kitchen
幸せになる家を造る建築士、リーフアーキテクチャの猪倉です。
今回は天井高の低い(240センチ未満)高気密高断熱住宅でのレンジフードのお話です。
リーフのオリジナルオーダーキッチンはエンドユーザー様だけでなく、工務店さんからもお問い合わせをいただくことが多くあります。
そんな中で最近増えているのが天井高の低めの住宅。特に高気密高断熱の高性能住宅を手掛けている工務店さんに多いです。
リーフの建てている住宅も高気密高断熱住宅なのですが、いままで一般的とされてきた240㎝の天井高を220~230㎝と低めに設定することが多くなってきたのでその理由もよくわかります。
*省エネ効果を高めるために気積を小さくしたい
*ダクト式換気のためにダクトを梁下に通すためのスペースが必要
*吹抜と組み合わせ、メリハリのある空間に
*低めの天井の方が落ち着いた雰囲気に
などがあげられます。
そこで問題となるのがレンジフード。
一般的なレンジフードは天井高さ240㎝を想定して作られていることが多く製品高さは65㎝から調整次第で90センチぐらいになるものがほとんどです。高さが低めのレンジフードもあるのですが、最近の高気密高断熱住宅によく使われれ「同時吸排型レンジフード」はその構造上、低めに作ることが困難で最小でも65㎝は必要になってきます。
キッチンの高さは一般的な体格の方で85㎝
キッチンのコンロからレンジフードまでの高さは消防法で最低でも80㎝確保することが義務つけられており、合計165㎝
天井高が220㎝とするとレンジフード高さは55㎝にしなければなりません。
今回は、このように高気密高断熱住宅におけるレンジフードについてお話をさせていただきます。
大きく分けると3つの解決策があります。
弊社もよく使わせていただいているレンジフードメーカーの富士工業さん。
最近人気のレイアウトであるペニンシュラ型のキッチンだとサイドフード型のレンジフードが必要になります。
富士工業さんのカタログを見るとサイドフード型の同時吸排レンジフードで一番製品高さが低いのがこちら。
製品高さが最小で65㎝です。
高さが85㎝のキッチンで天板とレンジフードの下までの距離を80㎝とするなら、230㎝の天井高以上で対応できます。
さらに低い天井高の場合、別注で製品高さを縮めてもらうこともできます。
どれくらい縮めることができるかはその都度確認する必要があります。
上記の方法でも希望通りにできない場合があります。例えば
*レンジフードのデザインが気に入らない
*価格が予算オーバー
*さらに天井が低い
などです。
そんな場合に一番コストを抑えることができるのがこの「差圧吸気レジスター」です。
これは気圧の変化を感知し、レンジフードが運転中の負圧状態のときにシャッターが開く吸気口です。
レンジフードは基本排気さえできればどんなものでもよく低コストのレンジフードと組み合わせればかなり予算を抑えることができます。
差圧吸気レジスターよりもさらに確実に吸気機能があるのがこちらです。
これを使う場合はレンジフードに電源線があることが必要です。
レンジフードのカタログを見るとこのように記載されています。
外壁に開けた吸気口から天井内をダクトを通し、キッチン近くの天井(又は壁)に連動シャッターを取り付けます。
連動シャッターにレンジフードから伸びてきている連動せんを接続すれば、レンジフードの電源を入れるとシャッターが開き、レンジフードの排気で室内が負圧になることで新鮮空気が外部から流れてきます。
また、これはレンジフードのサイズとは関係はないのですが、高気密高断熱住宅で廃棄による熱損失が気になる場合は、排気ダクト電動の電動シャッターを使います。
通常のレンジフードの排気ダクトは簡易的なシャッターしか使っておらず、外部で強風が吹いた時や自然の漏気で冬場は寒い外気が、夏場は熱い外気が室内に入ってきてしまします。
その時には排気側にも電動のシャッターを取り付けてあげると、運転時以外は蓋が閉じた状態で、外気の侵入をある程度は防ぐことができます。
最近、住宅の性能にようやく目が向けられるようになってきました。
しかしせっかく高気密高断熱で高性能な住宅を建ててもレンジフードまで気を配らないとせっかくの高性能が台無しになってしまいます。
快適な生活を実現するためにも、ぜひ、レンジフードにも配慮してあげてください。
*注1 ここでいう高気密とは気密測定の結果、C値が少なくとも1未満、できれば0.5以下のレベルの住宅を指します。
*注2 ここでいう高断熱とは断熱性能を示すUa値が概ねZEHレベル(大阪ですと0.6以下)レベルの住宅を指します。
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