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大阪の注文住宅、高性能×インテリア、リーフアーキテクチャの猪倉です。
先日、お引き渡しを終えた大阪狭山市西山台の「まちにひらく家」
カメラマンさんにお願いしていた完成写真も出来上がりましたので、そちらもご披露しつつ、このお宅を作るにあたって考えていたことをまとめてみようと思います。
今回のお施主様はもともと大阪市内のマンションに住まわれていた方。昨年の夏に当社にパートナーお申込みをいただいてから、ご一緒に土地探しが始まりました。ちょうどそのころ当社も長年入居していた大阪南港ATCから、発祥の地であった大阪狭山市に移転準備していた時。7月から始めていたショールームの改装工事が完成し8月末に引っ越し、9月の本オープンに向けての作業が大詰めの中での土地のご案内。そんな中、偶然にも新店舗から徒歩でも5分ぐらいのところに運命的な土地との出会いがありました。
大阪狭山市の「狭山ニュータウン」と呼ばれるところは里山を切り開いて作られた住宅地なので起伏が多く、擁壁や高低差の多い土地が多いのですが、ここは平地。しかも最寄り駅までも徒歩圏内。すぐにここに決まり、計画が始まったのでした。
この土地は「陶器山通り」と呼ばれる通行量の多い通り。車も人も多く前を通ります。きっとたくさんの人たちから見られる家になると思いました。今まで長年住んでいた大阪市内から引っ越されてくるお施主様。慣れない土地に住まう中で少しでも早く地域になじみ、暮らしを楽しむことができるためには「この街にこんな家が建って良かった」と思っていただく家を作ること。そうする事で施主様ご家族もスムーズに地域に溶け込めるのでは無いかと言う事でした。
今回造園をお願いした荻野景観設計の荻野さんには配置計画から、室内から庭を楽しむための窓の位置、大きさなどいろんなアドバイスもいただきました。普段は「家具から始める家づくり」を掲げている私ですが、「庭から始める家づくり」の大切さも教えて頂きました。
この物件は当社のスーパーウォール工法第1号です。スーパーウォール工法とはLIXILの開発した硬質ウレタンパネルと制震機能のある構造用合板を組み合わせ、断熱性、耐久性、耐震性能を実現した工法。断熱性能UA値0.41(G2レベル)、気密性能C値0.3、耐震等級3といった性能も当たり前に確保しています。
性能を客観的に証明する手段として
・住宅性能表示
・長期優良住宅認定
・BELS認定
の各種認定も取得済みです。
20年以上前に作られたいわゆる「省エネ基準(Ua値0.87)」。本来は2020年から義務化されるはずが説明義務化という後退をしてしまいました。しかし、2050年カーボンニュートラルの実現が目標に掲げられ、再び前進してきました。2025年には省エネ基準義務化がほぼ決まり、2030年にはZEH、G2レベルが義務化されるのではともいわれています。
このような動きを見ても今後は住宅の高性能化(この言葉も本来は低性能がようやくまともに近づくという方が合ってるかと思いますが)がますます加速していきます。大手ハウスメーカーやパワービルダーは高性能住宅を今より低価格で提供してきます。もはや高性能は当たり前、その先に何を目指すのかが問われていると思います。
性能を当たり前に備えたうえで私たちが以前から提唱している家具から始める家づくりをこちらのお宅でも提案させていただきました。メインとなるキッチンは天然木ウォールナットのオイル仕上げ。バックキャビネットも同素材で。玄関収納と洗面台はオーク材。それぞれの素材の特性を生かしています。
ダイニングの主役となるテーブルも、デザインと機能をうまく兼ね備えている徳島市の椅子徳製作所さんのものをご提案。丸テーブルが入ることで空間に柔らかみが生じました。
ソファは、今回初の試みの造作ソファ。クッションはいつも椅子の張替えなどでお世話になってる平野区の坂東椅子さん。下の本体は大工さん。ウレタンキャスター付きの引出は建具屋さんとそれぞれの強みを生かしたコラボ作品となってます。
基本設計が大体定まってから、展開図なども見ながら細かな空間のご提案もさせていただくわけですが、今回も階段下の空間を生かしてちょっとした「おこもりスペース」を配置。低い傾斜天井の下にいると不思議と落ち着き感があります。
このスペースの背面を望むと造作ソファから壁の開口部を通して和室の向こうのウッドデッキまで見通せます。2階の階段沿いには部屋干し用の金具を天井から吊ったり、書斎部屋には造作でデスクや本棚を作ったりと、こういった空間の作りこみが生活をますます便利で豊かなものにしてくれます。
最近はSNSなどで、住宅実務者が発信を増やしていることもあって、住宅検討者の皆さんが性能に目を向けてくれるようになりました。なかにはプロ顔負けの知識を持つ「プロ施主」と呼ばれる方たちも増えてきています。その反面、性能のことばかりに目が行き、迷い、悩んでおられる方も散見するようになりました。家づくりは本当は楽しいものなのに、考え迷うことが多すぎて「家づくりブルー」になってしまうようです。そんな時はいったんスタート地点に戻ることをお勧めいたします。
そもそも、どうして自分たちは家づくりをしようと考えたのかです。そして、「家づくりのテーマ」を考えましょう。家に求められるものはまず第一にシェルターとしての役割。大切なご家族の命、健康を守ることです。これは本来は国が法律でちゃんと規制してエンドユーザーの方が専門知識がなくても、どこで家を購入、あるいは新築しようが一定程度以上の性能の住宅が手に入るように整備すべきです。そして、家づくりを考える人は性能のその先にある、自分が本当に手に入れたかった暮らし、空間、住まい方に目を向けれるようにするべきなのです。
それはインテリアでもいいですし、エクステリアでもいいでしょう。内観外観のデザインテイストや照明計画など、考えだしたら迷いもするけどワクワク楽しくて仕方のない。そんな時間を家づくりで体験していただきたいと思います。
日本は新築信仰、戸建信仰が強いといわれています。それは「一国一城の主」という名の示す通り、ステイタスとしての側面があるのも一因でしょう。しかし、ともすれば「自分の家なんだから何やってもいい」ということに陥りがちだとも思います。日本は戦中戦後で大きな価値観の変革を迫られ、行き過ぎた統制の反動から私権の制限には大変慎重になりました。今回のコロナ禍における対応の彼我の差をみても明らかなように、個人の行動に対して国が制限をかけることには大きな制約があります。(この話はまた改めて書きたいと思います)
住宅政策においても同じことが言えます。断熱性能に対しての考え方が基本的に違います。エネルギーを国の安全保障ととらえていれば、もし紛争でエネルギーの輸入が止まった時(日本にもかってオイルショックがありましたが皆忘れてしまったようです)、国内で賄わないといけない。それを産業用、民生用に振り分けて行って、住宅部門に落とし込むとき、一番エネルギー消費効率の悪い戸建て住宅はこれぐらいのレベルの断熱性能を持たなければ建ててもらっては困る。という順番で決められています。国として国民を守るためには最悪のこと考えたらこれぐらいしとかなきゃだめよって国が規制をかけているわけです。
翻って日本はせっかく進みかけた、それもめちゃくちゃ低レベルの省エネ基準ですら(どこからの圧力か知りませんが)義務化が見送られる始末です。人はだれしも健康で快適な生活を送る権利があります。しかし現実には所得の格差はあるわけで、すべての人が注文戸建て住宅に住めるわけではありません。かといって性能の伴わないローコスト住宅に「戸建だから」というだけで済むのは将来に負の資産を残すことにもなりかねません。ローコスト住宅といえども限られた資源、土地や建材、エネルギーを使って建てられているわけです。同じ使うなら正の資産になるように使う必要があります。求められているのは「性能はどうでもいいからとにかく戸建て」ではなくて「戸建、集合の形態はどうでもいいからとにかく住む人の命と健康」なのです。
「本当に快適な暮らし」とは何でしょうか。戸建であってもマンションであっても賃貸アパートであっても、最低限の省エネ性能や耐震基準が国の政策で担保され、命や健康を守るレベルの家はどんな所得層の人でも特に勉強や意識しなくても手に入れることができる。そのうえで、自分たちのできる範囲でインテリアを楽しんだり、エクステリアを楽しんだり、DIYで自分なりにカスタマイズしたり、年数がたてばリノベーションしたりと、暮らしを楽しめることだと思います。
今回の「まちにひらく家」では、その在り方の一つをご提案させていただきました。性能は当たり前に備えたうえで、本来の暮らしを楽しむ。そのためのインテリアとエクステリアのあり方。町とのつながり方の一つの答えを作れたのではないかなと思います。そしてなによりも、この素晴らしい体験の機会を与えてくださったお施主様ご家族の皆様に感謝です。本当にありがとうございました。
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株式会社リーフ 代表 猪倉 厚
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