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みなさんこんにちは、一級建築士で宅建士、リーフの猪倉です。
あまり梅雨らしい梅雨もなく、いきなり猛暑が来たようなこの夏。
年々、暑さが増す中で、いわゆる「高断熱高気密」という性能だけではなく、
いかに適切に家の中の換気空調が出来ているかが大切になってきました。
今回は、最近リーフアーキテクチャが取り組んでいる家庭用エアコンでの全館空調を
先月お引渡しが完了したばかりの事例をベースにお届けしたいと思います。
全館空調(ぜんかんくうちょう)とは、建物全体を均一に空調するシステムです。
これは、家やビルの全体にわたって、快適な温度と湿度を維持するために使用されます。
全館空調の特徴と利点について詳しく説明します。
全館空調は、快適で健康的な住環境を提供するための優れたシステムです。
導入を検討する際は、専門業者に相談し、自分の生活スタイルや予算に合ったシステムを選ぶことが重要です。
戸建住宅における全館空調にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴と利点があります。
以下に、代表的な種類とその特徴について説明します。
特徴:一つの大型空調機で家全体をカバーします。ダクトを通じて各部屋に空気を送り込む方式です。
利点:各部屋の温度と湿度を均一に保つことができる。運転音が比較的静か。
欠点:設置コストが高い。ダクトの設置が必要なため、リフォームや新築時に向いています。
特徴:各部屋に設置された小型の空調ユニットを連動させるシステム。ダクトが不要。
利点:設置が比較的簡単で、既存の住宅にも導入しやすい。各部屋ごとに温度設定が可能。
欠点:多くの室内ユニットが必要なため、設置場所を考慮する必要がある。ユニットごとのメンテナンスが必要。
特徴:ヒートポンプを利用して冷暖房を行うシステム。床暖房や天井カセット型ユニットと連動することが多い。
利点:省エネルギー性能が高い。冬場は床暖房と併用することで、より快適な環境を提供。
欠点:設置費用が高い。システムが複雑なため、専門的なメンテナンスが必要。
特徴:床下に温水パイプを敷設し、床全体を暖めるシステム。一部の全館空調システムと組み合わせて使用されることがあります。
利点:足元から部屋全体を暖めるため、非常に快適。乾燥しにくい。
欠点:冷房機能がないため、別途冷房システムが必要。設置コストが高い。
特徴:地中熱を利用して冷暖房を行うシステム。ヒートポンプ技術を用いることが多い。
利点:エネルギー効率が非常に高い。温度変化が少ないため、安定した空調を提供。
欠点:初期設置費用が非常に高い。地中熱交換器の設置が必要なため、土地の条件を選ぶ。
これらの全館空調システムは、それぞれの特徴と利点を持っており、家庭のニーズや予算、住宅の設計に応じて最適なシステムを選ぶことが重要です。専門業者に相談し、自分の生活スタイルに最も適したシステムを導入することをお勧めします。
このように沢山の種類のある全館空調ですが、リーフがおすすめしているのは家庭用エアコンをつかった全館空調です。
住宅を計画していくにはいろんな課題を解決していく必要があります。
その中で絶対に優先していきたいのが
耐震・断熱・気密です。
耐震性能に関しては許容応力度計算による耐震等級3を取得する事
断熱性能においては断熱等級6、大阪などの6地域ではUa値0.46以下が断熱等級6になりますができれば0.4は切っておきたい。
気密性能においては中間測定時でC値0.5は切りたい
この3つの要素がまずは達成すべきポイントになります。
その次に考える要素として換気装置(1種熱交換換気か3種換気か)と空調システム。
換気と空調は一緒に考えるのが大切です。
シャルコストが一番安く済むのが第3種換気+家庭用エアコン全館空調
です。
メリットは
等があります。
デメリットとしては
等があります。
室温の暑い、寒いの基準は個人差もあるため、寝室などには予備のスリーブ感があると安心です。
リーフアーキテクチャでは基本計画は2階のロフトエアコンと1階の床下エアコンですが、
各寝室には将来エアコンを設置する際のスリーブとエアコン用コンセントをあらかじめ設置しています。
まず、採用するエアコンの容量を決める必要があります。
家電量販店にいくと「〇帖用」と書かれているからすぐわかるのではと言われますが、
この表記の前提になっている家の断熱性能は2025年に義務化される省エネ基準(断熱等級4)程度を想定したもの。
実際にカタログの性能値を見るときは「能力」欄に書かれているkw数がここが大切になります。
次に計画地の温度湿度のデーターを気象庁のデーターなどから拾い出します。
今回、計画した大阪府の気象データーはこの通り。
これによって、夏場の外気想定気温を36℃、冬場をー2℃とします。
そして、まずはそのお家の冷房負荷、暖房負荷を求めます。
この時に必要なのがその家の断熱性能(Ua値)
また、住宅内に存在する熱源(人体も)を計算していきます。
これにより、夏場は5.4kw、冬場は3.5kwの能力のエアコンが必要であることが分かりました。
酷暑時の冷房には冷房能力2.8KWのエアコン2台稼働、通常の夏は2階の1台のみで運用という計画にします。
暖房時は3.6KWのエアコン1台で賄えるので、いわゆる畳数でいうと10~12帖のエアコンが必要になります。
次に大切なのは空気の流れ。
冷たい空気は上から下へ、暖かい空気は下から上へ移動します。
この原理を使ってエアコンの位置、空気の通り道を考えます。
基本的には冷房用のエアコンを2階の一番高いところに設置します。
次に、暖房用のエアコンを床下(といっても床より少し上げて取替作業をしやすくします)に設置します。
またエアコンで大切なのはエアコン上部の吸気口にリターン空気を如何に吸わせてあげるか。
冷房時なら、エアコンから冷やされ、除湿された空気が室内をめぐるうちに温められて湿気も含んできます。
その暖かい湿気を帯びた空気を如何にエアコンに戻してあげるかが大切。
これが出来ないと、エアコンが設定温度に達して停止してしまい、湿度の高い空気で満たされてしまいます。
温められた空気は上に行くので、吹き抜けのある家なら吹抜上部のメンテナンスしやすい場所にエアコンを設置します。
今回は、吹き抜けをとる余裕がなかったので、1階の居室の天井に開口部を設け、1階と2階の階間に送風用のファンを設置、
2階の壁内を通して2階リビングの勾配天井からエアコンへリターンする経路としています。
また、今回は3種換気なので、2階リビングに設けた給気口から入った暖かく湿った空気が
勾配天井沿いに上に流れ、1階各居室から運ばれた空気と合わせてエアコンへ行くように計画してあります。
大切なのは完成後、計画通りに空気が流れているかの検証。
各給気口や排気口から想定通りの風量が出ているかを実測します。
最後にサーモカメラで空気の流れを検証
2階リビング壁右側の空気行から室内へ入った空気が、勾配天井沿いに上昇し、エアコンへ。
また壁中ほどのガラリからは1階の各個室から送られてきた空気が同じく上昇、エアコンのリターン口へ運ばれて行っています。
エアコンから出てきた冷えて除湿された空気はロフトを走り、反対側の壁から下へ下降。
階段室を通って1階へ降りていく様が分かります。
本日は7月21日ですが、外気温が36~37℃の中、2階のロフトエアコン1台の運転で快適にお暮しいただいてます。
今後は、お家に設置させていただいた温湿度計でデーターを採り、
エアコンの運転の仕方などをアドバイスさせていただく予定です。
このように、家庭用エアコンを使用した全館空調は、ちゃんとした知識と設計のスキルが必要ですが、
正しく計画すると大変コスパのよい空気環境を手に入れることができます。
これから家づくりをお考えの方のご参考になれば幸いです。
現在公開中のくみのきモデルハウスでも、この家庭用エアコンを使用した全館空調を体感いただくことができます。
猛暑のこの夏こそ、威力を実感していただけるチャンスです。
ご興味ある方は是非、ご見学ください。
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株式会社リーフ 代表 猪倉 厚
1級建築士・宅建士・インテリアコーディネーター
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