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みなさんこんにちは、一級建築士で宅建士、リーフの猪倉です。
この数年で、家づくりを取り巻く環境(特に建設費など)が大きく変化いたしました。
これから家づくりをお考えの方には、現在の状況がどうなっているのを押さえておくことが大変重要ではないでしょうか。
実は、この7月30日に国土交通省から「令和5年度住宅市場動向調査報告書」が発表されました。
この報告書は注文住宅、分譲住宅、既存(中古)住宅、民間賃貸住宅、リフォーム住宅のそれぞれについて行われた
アンケートから成り立っていますが、今回はその中から、注文住宅に関する最新の動向を一部抜粋して解説します。
家づくりを検討している方にとって、貴重な情報が満載です。
是非、これからの家づくりのご参考にしていただければ幸いです。
令和6年度の調査結果によると、全国での注文住宅の「新築」と「建て替え」の割合はそれぞれ84.8%と13.8%であり、
三大都市圏では80.3%と17.0%となっています。
新築の割合が依然として高いことがわかりますが、建て替えの需要も少しずつ増えていることが見て取れます。
新築と建替えの比率は建て主さんの年齢にもよります。
今回のブログではすべて取り上げれなかったですが、報告書では新築の方の平均年齢が40代、
建替えの方の平均年齢が60代というデータもあります。
30代から40代の第1次取得者(初めて持ち家を持たれる層)は親様から土地建物を相続などされない限り、
自力で土地購入からの住宅建設となるのでこのような割内になるのでしょう。
今後の人口減に伴って住宅着工件数は減少していくことが確実なので、比率は徐々に建替えの方が増えていく可能性があります。
マイホームにはいくつかの選択肢があります。戸建注文住宅以外にも分譲戸建て(いわゆる建売住宅)や中古住宅、賃貸住宅など。
ここでは、戸建注文住宅を選んだ理由についての調査報告です。
注文住宅を選んだ世帯のうち、全国で28.4%、三大都市圏で29.2%の世帯が分譲戸建住宅と比較検討していることがわかりました。
また、全国で18.8%、三大都市圏で16.7%の世帯が中古戸建住宅と比較検討しています。
注文住宅同士で検討された方が76.9%いる反面に、分譲住宅(建売住宅)と比較されていた方も3割近くいるというこのデータ。
注文住宅と分譲住宅はその見極めるポイントや購入の順番の大きく違うので、比較の際にどのような基準で検討されていたのかが
気になるところです。注文住宅は性能や意匠にこだわれる反面、価格や立地を予算に合わせるために犠牲にする場合もあります。
分譲住宅は立地価格においては注文住宅よりも勝る場合が多いですが、住宅の性能においては2025年基準ギリギリ
(あるいはそれ以下)の場合もあります。購入時にそれを理解して納得の上でされることが大切です。
注文住宅を選んだ理由としては、「信頼できる住宅メーカーだったから」が全国で52.2%、三大都市圏で53.4%と最も多くなってます。
やはり大きなお買い物である注文住宅。デザインや環境、価格よりも、建設会社の信頼性が一番というのもうなづけます。
ポイントは、「どこで信頼性を見極めるか」。会社の規模だけでなく、応対するスタッフの資質、設計内わせの密度、
現場施工のチェックシステム、アフターメンテナンス以外にも企業文化など大変多くの要素が出てくるかと思います。
注文住宅取得世帯の住宅の選択理由となった設備等は、全国、三大都市圏ともに「高気密・高断熱住宅だから」が最も多く、
それぞれ 62.9%、65.4%。
次いで、全国で「住宅のデザインが気に入ったから」が56.3%、
三大都市圏で「火災・地震・水害などへの安全性が高いから」が 60.6%。となっています。
設備面に関しては「高断熱高気密」がトップに。
長年、高断熱高気密の住宅を!とうたってきた身としては感慨深いものがあります。
加えて、「防災性」「デザイン性」なども大切な要素ですね。
この数年で明らかに住宅の高性能化(高断熱高気密高耐震)にたいする意識は変わってきています。
最近の災害級の猛暑を見るにつけ、安心して生活できる断熱気密性能のレベルもさらにブラッシュアップされていくことでしょう。
注文住宅のみならず、分譲住宅を検討されているかたも是非、実際の行動に移る前にこの辺りの知識を
しっかりと身に付けておかれることをお勧めいたします。
注文住宅取得世帯が住宅選択にあたり妥協したものは、全国、三大都市圏ともに「価格(予定より高くなった)」が最も多く、
それぞれ 67.9%、66.7%。次いで、全国、三大都市圏ともに「住宅の広さ」がそれぞれ 38.1%、32.6%。となっています。
この回答に、最近の建設資材高騰の影響が表れています。
家づくりを思い立った時と実際に設計が進み詳細見積が出てくる時期も1年近くある場合、確実に価格は値上がりしています。
その結果、多少の価格上昇は受け入れながら、全体の面積をへえラス事で予算調整していくというのは
どこの建築会社さんでも見られる光景です。
その代わり、住宅サッシの性能をはじめ高断熱高気密といった性能面では出来るだけ妥協したくないという
最近の傾向がよく表れていると思います。
全国で55.7%、三大都市圏で59.8%の世帯が長期優良住宅の認定を受けています。また、「在宅勤務に専念できる個室がある」世帯が全国で48.9%、三大都市圏で51.9%と、在宅勤務の需要にも応えた住宅が増えています。
欧米並みの50年~100年使える住宅を目指して導入された長期優良住宅制度ですが、普及率はこの5年間さほど変わらず、
6割前後を推移しています。
昨年、制度が改正されて長期優良のレベルがアップしましたが、その分、住宅ローン現在や各種補助金、住宅ローン金利減免
などの条件にも利用され、正直、新築注文住宅を建てるのであれば取得しない理由はありません。
これから新築をお考えの方は是非とも、担当される建築会社さんに認定取得できるよう確認されてください。
また、コロナをきっかけに普及した在宅勤務スペースも今ではデフォルトの間取りになった感があります。
こちらもプラン打合せ時に確認されればよいかと思います。
省エネ設備として「二重サッシ又は複層ガラスの窓」が全国で79.3%、三大都市圏で78.8%、
「太陽光発電装置」がそれぞれ50.5%、54.2%と導入が進んでいます。
もはや新築時にシングルガラスの選択はあり得ないでしょう。
最低でもペアガラス。防火地域などの規制が無ければ樹脂枠。
予算が許せばトリプルガラスを使用したいところです。
また、太陽光に関しては様々な議論もありますが、自然破壊につながるメガソーラはともかく
すでに人工物である家屋の屋根に搭載するのはこれからの電気代の高騰を考えた時には必須と考えます。
その時は、基本自家消費で考えましょう。いずれFIT(余剰電力買取)は無くなります。
最後に、住宅資金関連の報告です。
この数年の土地建設費高騰の影響が出た報告となっています。
また住宅ローン金利に関しては、最近の金利上昇の影響がどう出てくるか。
注意してみていく必要がありますね。
住宅建築資金を工事の種類別にみると、新築世帯は住宅建築資金4,034 万円、建て替え世帯は 5,745 万円。
このうち自己資金はそれぞれ 1,070 万円、2,440 万円で、自己資金比率はそれぞれ 26.5%、42.5%。
5年間の推移をみると、新築の建設資金が30%(1000万円)近く上昇しているのが分かります。
これは私たち実務者の現場での感覚とほぼ同じです。この値上がりの動きは現在まだ続いており
様々な建材メーカーからこの夏、秋も値上げの連絡が来ています。
2,3年前の価格もあまりあてにならない状況なので、価格情報に関しては最新のものを仕入れておく必要があります。
土地購入資金は、全国平均で 1,929 万円、三大都市圏平均で 2,813 万円。このうち自己資金はそれぞれ720万円、1,063万円で、自己資金比率はそれぞれ37.3%、 37.8%。
自己資金の内訳は、全国、三大都市圏ともに「預貯金・有価証券売却代金・退職金」が最も多い。借入金の内訳は、全国、三大都市圏ともに「民間金融機関(フラット35 以外)」が最も多い
土地に関してはこの資料のように、最近の5年間は上昇基調になっています。
ただし、上がりすぎて流通が滞ってしまってる地域もあり、そういうところでは価格見直し(値下げ)の動きも見れれます。
また、以前は駅から徒歩圏などの利便性より、土地の広さ、街並みなどの環境の良いところが評価が高かったのが、逆転し、
利便性の良いところはまだ値が上がり、環境が良くても最寄駅から遠いところは値段が下がりつつあります。
利便性重視でいくか、環境重視で行くかで土地の予算は大きく変わっていきそうです。
住宅建築にあたり土地を購入した世帯について、住宅建築資金と土地購入資金をあわせた購入資金の総額をみると、全国平均で 5,811 万円、三大都市圏平均で6,989 万円。このうち自己資金はそれぞれ 1,685 万円、2,247 万円、自己資金比率はそれぞれ 29.0%、32.2%。
自己資金の内訳は、全国、三大都市圏ともに「預貯金・有価証券売却代金・退職金」が最も多い。借入金の内訳は、全国、三大都市圏ともに「民間金融機関(フラット35 以外)」が最も多い。
土地建物の合計金額は注文住宅であれば6000万円を超え、場合に寄っては7000万円に近付きつつあります。
上記の資料は東京含む3大都市圏(関東・中京・関西)の平均なので、大阪の場合はもう少し低いかと思いますが、
現場レベルでは土地建物諸経費合わせた総予算は5000万円(土地価格にもよりますが)最低掛かる感じです。
10年前から比べるとかなりの価格になってしまってます。
慎重な資金計画が必要になってきますし、土地と建物合わせて見れる立場の良きパートナー(建設会社)の存在が大切です。
住宅ローンを利用している割合は、全国で74.8%、三大都市圏で69.7%であり、そのうち「変動金利型」を選んでいる世帯が全国で75.0%、三大都市圏で80.7%と最も多いです。
今までは史上最安レベルの金利で、変動金利は0.3%代も珍しくなく、多くの方が変動金利で住宅ローンを組まれていました。
ただ、日銀の利上げ政策への変更で今後は変動金利の水準が徐々に上がっていくのは間違いありません。
10年ほど前はたしかに建築コストは安かったですが変動金利は2%代、フラット35でも3%代が当たり前でした。
バブルの頃は変動でも6~7%の時代もありました。
その時の情勢を冷静に見極めて全体的な資金計画と借入計画を作る必要があります。
生涯にわたって家計に支障が出ないようなライフプランを作成しておく必要があります。
今回の調査から、注文住宅の選択理由として「の信頼性」と「高気密・高断熱」が重要な要素であることが明らかになりました。
また、価格や住宅の広さで妥協するケースが多い一方で、新築の快適さを重視する傾向が強いこともわかりました。
資金調達面では、自己資金の割合や住宅ローンの利用状況についても詳細が明らかになり、今後の住宅取得に向けた参考となる情報が得られました。
これから家づくりを考えられる方々は、いきなり住宅展示場やモデルハウスを見に行くのではなく
これからの時代に、どのような家が自分たちに一番合っているのか。
どのような尺度で住宅会社を選べばいいのか。
最低限押さえておきたい住宅の性能、仕様はどのようなものかについてしっかりと勉強してください。
利便性優先で行くのか、住環境優先で行くのか、様々な選択肢があり、何が一概に正解だと言い切れるものではありません。
ただ一つ間違いないのは、どのような住まいであっても
そこに暮らすご家族が幸せになること
であると思います。
混迷の時代だからこそ、このような資料にも目を通され、今の家づくりの現状がどうなっているのかを把握したうえで
ご家族が幸せに暮らせるお家を手に入れてくださいますように。
今回のブログは国土交通省から発表されている「令和5年度住宅市場動向調査報告書」から抜粋してまとめてみました。資料全体はこちらで公開されているので、ご興味ある方は是非ご覧になられてはいかがでしょうか。
夏休み最後の日曜日である8月25日(日)に大阪狭山市のリーフビレッジにて
家づくり勉強会を開催いたします。
今回、お話ししたような内容をもう少しわかりやすく、特に、南大阪で家づくりをお考えの方にお役に立つように
をお話いたします。
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株式会社リーフ 代表 猪倉 厚
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