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資金計画

施主支給のメリット・デメリットとは?

1. はじめに:施主支給とは何か?

1級建築士で宅建士のリーフアーキテクチャ代表、猪倉(いくら)です。
今回のブログは「施主支給(せしゅしきゅう)」についてのお話です。

注文住宅を検討する中で、「施主支給」という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。施主支給とは、住宅の設備や資材などの建材を施主自身が購入し、工務店や施工会社に持ち込む方法を指します。建材の取り付けを工務店にお願いしたり、建材と施工両方とも施主が段取りして現場に収めます。

施主支給にはコスト削減や商品選択の自由度といったメリットがあります。一方で、施工における調整作業や追加費用、トラブルのリスクも考慮する必要があります。特に、「持込品が設置条件に合うかどうかの確認作業が必要」「商品不良時の対応が難しい」などの課題がよく指摘されます。

本記事では、施主支給のメリットとデメリットを詳しく解説し、成功させるためのポイントをお伝えします。施主支給を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

施主支給に向いているカーテンや照明器具

2. 施主支給のメリット

施主支給には、以下のような利点があります。

(1)コスト削減の可能性

施主支給を選ぶ最大の理由は「コスト削減」です。工務店やハウスメーカーが設備を提供する場合、仕入れ価格に利益を上乗せします。しかし、施主支給を選べば、この上乗せ分を節約できます。

たとえば、施主支給でキッチンを選んだ場合、インターネット通販やアウトレットを活用することで、標準価格よりも20~30%安く購入できるケースがあります。また、大型家具や高額設備では、施主支給による節約額が数十万円に達することもあります。

しかし、工務店側から見れば施主支給が増えれば増えるほど本来得られる利益が削られるので経営が成り立たたなくなります。それを防ぐために施主支給自体を禁止にしていたり、出来るとしても持込料を上乗せする場合がほとんどです。事前にそれを確認しておくことが大切です。

(2)自由な商品選択

施主支給では、工務店が用意するカタログに制限されず、自分の好きな商品を選べます。たとえば、海外製品や特注品など、独自のこだわりを実現することができます。施主支給のこの自由度は、理想の住まいを作る上で大きなメリットとなります。

実際に、フルオーダーの造作風呂や、最新デザインのキッチン設備を施主支給で導入した事例もあります。こうした選択肢の幅広さは、施主支給を選ぶ大きな理由のひとつです。

(3)家づくりに関わる満足感

施主支給を選ぶと、商品選定から設置まで、自分で手配したものが家の一部になる達成感があります。施主支給を通じて家づくりに積極的に関わることで、完成後の満足感がより高まります。

3. 施主支給のデメリット

一方で、施主支給にはデメリットもあります。

(1) 施工側への負担増加

施主支給品の施工には、工務店に追加の手間がかかります。商品の仕様確認や取付準備が必要になるだけでなく、万一の商品不良やサイズ違いが発覚した場合、工事が遅れるリスクもあります。

(2) 責任の所在が不明確

施主支給では、商品の不良や破損が発生した場合、誰が責任を負うのかが曖昧になりがちです。たとえば、商品が配送中に破損していた場合、それが施工後に発覚すると問題解決が複雑化します。こうした責任の所在を明確にしておくことが重要です。

(3) トータルコストの増加

施主支給はコスト削減が期待されますが、持込料や追加工事費が発生することで、結果的にトータルコストが高くなる場合もあります。たとえば、施主支給品を取り付けるために配管や電気設備を調整する必要が生じると、工事費が予定以上にかかることがあります。工務店の標準仕様でなくとも、工務店側が仕入れることの出来る建材なら多くの場合、工務店に頼んだ方が安くつきます。価格を事前に比べておくことが大切です。

4. 施主支給を成功させるポイント

施主支給をうまく活用するためには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。

(1) 工務店との事前相談を徹底する

施主支給を計画する際は、工務店と十分に相談しましょう。商品の取付可否や施工に必要な準備を確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

(2) 商品選びの注意点

施主支給品を選ぶ際には、住宅の仕様や規格に適合するものを選ぶことが重要です。特に、海外製品を施主支給で選ぶ場合は、電圧や配管の違いに注意が必要です。水栓金具なども日本の水道規格の認証を取っているかどうか確認しましょう。

(3)持込料や追加工事費用を理解する

施主支給の場合、持込料、調整費用が必要になります。持込料や調整費用を含めたトータルコストを計算し、施主支給が本当にコスト削減につながるかを確認しましょう。工務店から詳細な見積もりを取り、比較するのも有効です。

5. 施工側から見た「施主支給」への本音

工務店の視点から見ると、施主支給には以下のような課題があります。

(1) 確認作業が必要

施主支給品が設置条件に合うかを確認する作業や、商品の選定に関するアドバイスが求められることが多いです。場合によっては建築工事の際に先行して取付下地が必要になったり補強が必要になったりします。これが追加の手間となるため、工務店側にとって負担となる場合があります。

(2) 持込料の発生理由

施主支給品に関して、持込料が発生する理由を施主に納得してもらうことが重要です。施主支給では商品の価格は安くなりますが、工務店側の調整作業やリスクが増えるため、その対応費用として持込料が設定してそれに備えることがあります。

6. おわりに:施主支給との上手な付き合い方

施主支給は、コスト削減や自由な商品選択という魅力がありますが、一方で手間やリスクも避けられません。施主支給を成功させるためには、工務店との密なコミュニケーションと、商品の慎重な選定が欠かせません。

施主支給を取り入れるかどうかは、コスト、手間、リスクを総合的に判断する必要があります。適切な計画と準備を行うことで、施主支給を活用しながら理想の住まいを実現することが可能です。

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