air-conditioning-and-ventilation
1級建築士で宅建士、リーフの猪倉です。
少し前ですが、滋賀県栗東市まで「住宅空調講座」にスポット参加してきました。この、住宅空調講座、岐阜市にある凰建設の社長でもある森さんが代表の一般社団法人「ミライの住宅」の主催の講座です。私は3年前にこの講座を受講、昨年は弊社のスタッフも受講して今では設計段階から空調計画を立案、提案するようにしています。
実は今、高気密高断熱住宅を普段から作っている工務店の中では空調の知識が求められています。高断熱高気密というと、Ua値やC値にばかり目が行きがちですが、断熱等級6なのに夏、エアコンを掛けても涼しくならない、という現象が非常に多いのです。その理由は適切な空調計画が出来ていないから。では適切な空調計画とは何でしょうか。
空調計画と言えば、メーカーが進める高額な全館空調装置の導入をまず多い浮かべるかもしれません。正しくは、まず建物の冷暖房負荷を求めることから始まります。例えば真冬にエアコンで暖房を使用するとそのシーズンで何kwhの熱量が必要かを計算するものです。
次に適切なエアコンの位置を定めます。エアコンをその能力を十分に生かすためには、例えば、夏場、冷えた空気がエアコンから出た後、室内を循環して温まり湿気を帯びた空気を再びエアコンの吸い込み口に戻してあげる必要があります。このリターン経路の計画が出来ていないと、エアコンがすぐに止まってしまい家の中に冷えている部分と冷えていない部分が出てきます。
住宅空調講座では、空気線図を使って空気の温度と湿度の関係の理解から始まり、冷暖房の負荷計算、エアコンの選定、ダクト式空調の場合はダクトの経路計画、などとすすみ、実測などの作業も経験して、最後は自分で計画した空調計画を皆の前で発表し、合格すると無事に認定証がいただけるという、内容になっています。卒業生は最新の講座が近くで行われる時、空きがあればスポット参加して復習できる制度もあり、今回はそれに参加してきたのでした。
そんなこんなで、真冬のある時期、滋賀県栗東市まで行きました。「住宅空調講座」は約半年間の期間で開催されますが、対象地区の参加工務店さんのモデルハウスを巡回して開催されます。今回は栗東市にある夏見工務店さんの自宅兼市モデルハウスが会場という事で、以前から新住協でご一緒している夏見さんのご自宅はまだ伺ったことが無かったので、スポット参加させていただくことになりました。
実はこの翌日、同じ滋賀県内でパッシブハウスジャパン主催の完成見学会があり、それにも参加する予定だったので車で行って現地に泊まろうかとも思ったのですが、慣れない雪道で運転するのも不安があったので電車移動にしたのでした。実際行ってみると、雪は全く積もってなかったのですが。
で、いよいよ当日。電車を乗り継いで栗東に到着。久しぶりに手動でドアをあける電車(笑)。駅からすぐの夏見邸は滋賀県名物「飛び太くん」のがお出迎え。映画『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』でも人気者になりましたね。(実はこの映画の中には新住協関西メンバーなら笑えるシーンがもう一つあるのですが、それはお会いした時にw)
邸内に入ると、あちこちに見知った顔が。この空調講座に限らず、いろんな勉強会や研修会に行くと同じような顔ぶれに合う事が多いです。不思議とこの勉強熱心なのは独立系の工務店設計事務所の皆さんで、いわゆるフランチャイズ加盟の会社さんに合う事はあまりありません。今回は大阪地区メインという事もあって普段からいろんな団体でご一緒している方々とお会いすることができました。講義が始まるまで、しばらく邸内を見学させていただきます。外はとても寒いのに、室内は暖房切ってるはずなのにポカポカです。
そうこうしているうちに、講義の始まり。講義はオンラインでも参加でき、この日も何組かの方がZOOMで参加されていました。話を聞くのは3年ぶりですが、内容がブラッシュアップされていて、より実践的になっていました。いろんなお話の中でも一番印象に残ったのが室内側に張る防湿シートの話。最近は夏型結露防止のために調湿防水シートを貼るところが増えていますが、実は大きな問題をはらんでいることが話題になりました。この件はまた改めてブログでまとめたいと思います。
講義の後、夏見邸を改めて見学。パッシブハウスには欠かせないといわれる噂の全館空調「ゼンダー」を見せていただきました。エアコンの機能から湿度調整、二酸化炭素の測定までやってくれる優れもの。価格もそれなりにしそうですが、パッシブハウスの認定を狙う方には必須の装備と言えるかもしれません。
そして恒例ともいえる実測。計算通りの結果になっているかを実測します。私も3年前の受講以来、実測を行うようになりました。計算と実際の結果に差異がある場合はその原因を突き止めていく。その過程の中で、何が大切なのかの勘所を掴んでいきます。
講義終了後は恒例の懇親会。いろんな勉強会や研修会に出ていますが、この懇親会がとっても大事。なかなか聞けなかった疑問や、リアルの情報などを入手できるのはもちろんですが、なにより、全国から集まった建築愛にあふれた人たちと交流し、そのつながりが出来るのが財産です。建築を仕事でもあり趣味でもある人ばかり。話していてお尽きることはありません。
3年ぶりの参加でしたが、忘れていたこともあり、また新しい知見に触れることもできてたい異変良かったです。昨今の住宅の高断熱高気密化に伴い、以前ならばあまり振り替えられることのなかった室内の空気環境(温湿度)のコントロールが重要になってきています。
全館空調と一口に言っても、エアコンと3種換気を組み合わせたシンプルなものから、最新鋭の熱交換換気装置と空調機器を組み合わせた高価なものまでさまざまな手法がありますが、どれを選ぶにせよ、一番大切なのが基本となる断熱気密性能。断熱等級6,できれば6+(大阪などの6地域でUa値0.3台)、また気密はC値0.5以下を担保していないと、本来の機能を生かすことはできません。
断熱性能の弱い住宅を機械の力で無理やり空調コントロールしていくやり方はランニングコストの点からいってもあまりよい方法とは言えないでしょう。また1種熱交換換気も何十年先のメンテナンスやダクト内部の清掃の問題など、これはこれでいろんな検討課題があります。最適な空調計画を提案するためには知識のブラッシュアップが欠かせません。これからも勉強を重ねて、お客様が快適に暮らせ津住環境をお届けしたいと思います。
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