architectural-tour
1級建築士で宅建士、リーフの猪倉です。
先日、大阪生まれの世界的な建築家、安藤忠雄さんの建築展に行ってきました。3月から
7月までのロングラン開催で、3月にも行ってきたのですがその時はあまり時間が無くゆ
っくり見れなかったので再訪です。
私が初めて安藤さんにお会いしたのはもう40年ほど前、神戸大学の建築学生だった頃。
当時新進気鋭の建築家として伸ばされていた安藤さんの建築展が神戸の北野町であり、
その会場に行く道の途中でした。
北野町はかってはさびれた町であり、古くからの洋館も解体の憂き目にあっていました
が、NHKの朝ドラ「風見鶏」の影響で一気に観光地化がすすみ、古くからある洋館の整
備（大学院生の時に所属していたゼミで神戸市の仕事ととして調査をお手伝いしました）
や街並みに合うような商業建築が沢山立ち始めていたころです。
その一つに安藤さん設計の「ローズガーデン」や「リンズガーデン」があり、そこを会場
にしての建築展でした。安藤建築の特徴であるコンクリート打ち放し仕上にレンガタイル
やH形鋼を使ったデザインは当時大きな流行となりました。
ちょうど後の代表作の一つとなる「六甲の集合住宅」の建設が始まったころにもなります。
大学院生でそろそろ卒業論文のテーマを決めないといけなかった私、テーマは「建築にお
ける風土性」と決まってたのですが、安藤さんの光と影をうまくコントロールしたデザイン
に日本建築と共通するところがあると思い、担当教官に報告したら「生きている人の論文
はやめなさい」といわれて谷口吉郎さんに研究対象が変わったのは良い思い出です。
この数年前に「住吉の長屋」で建築学会賞を受賞していた安藤さんでしたが、まだまだ建築
界の中では異端児扱いされていた部分も多かったと思います。経歴からしてプロボクサー上り。
建築の専門教育は受けずに独学。どこの学閥にも属さないいわば独立系の安藤さんは、しかし、
若い建築学生の目にはとっても挑戦者に見えて「カッコいい」存在だったのです。
当時の安藤事務所の入所条件がギーディオンの「空間時間建築」を読んでレポートにまとめる
という事を知った私は早速その本を買い求めて読み込んだものでした。
前置きが長くなりましたが、本題の建築展について。この建築展は安藤さんも開発にかか
わった「うめきた」地区のグラングリーン大阪のギャラリー「VS」で行われています。
会期は3月20日から7月21日まで。
場所がちょっとわかりにくいですが、今回うめきたの開発で一躍人気スポットになって芝
生広場から道路を挟んだ北側にある建物です。建物の中に掲げられている案内幕が目印。
館内に入ると、有料の音声案内機器があり、それを聞きながら巡回するのがおすすめ。
2回訪問した私ですが、どちらもお借りしました。
入り口すぐには安藤さんの言葉と今回の建築展のタイトル「青春」の解説が。
サむエル・ウルマンのこの詩は私も以前からとても好きな詩です。
青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
サムエル・ウルマン「青春」より（訳詩岡田義夫）
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、
怯懦を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、
こう言う様相を青春と言うのだ。
会場入り口近くにあるのが、安藤さんが建築の旅で周遊した場所の地図。
本当に世界中を旅されています。
旅先でのスケッチも展示してあり、こちらも見ごたえがあります。
会場内にはたくさんの模型とドローイングが展示。
六甲の集合住宅のアイソメ図もありましたが圧巻です。
こちらは初期の代表作、「住吉の長屋」の模型。
今の住宅の課題になっている「断熱気密性」とは全く対局をなす建物ですがそれでも
圧倒的な迫力とデザインです。
淡路島にある水御堂の模型。
私も10年ほど前に現地を訪れました。
お寺丸ごと池の下に埋めてしまうという大胆な発想。
大阪府豊中市にある「光の教会」の模型。
教会を設計時のエピソードも掲げられていてなかなか興味深いです。
北海道トマムにある「水の教会」のドローイング
奥の部屋では四季の水の教会が対円出来る映像も上映されています。
そしてサプライズ！
この日は安藤さんご本人が会場におられて、トークショーが開催されていました。
3月に訪れた時もトークショーがあったのですがご自宅も会場から近いこともあり
よく来られているみたいです。
トークショーは録音撮影禁止でご披露できませんが、いつもながらの毒舌を交えた
安藤節は聞く人の笑いを誘ってとても楽しい、そして刺激に満ちた時間でした。
在廊時はトークショーの後、サイン会も。
私も3月に来た時にサインを頂きました。
今回は比較的ゆっくりと見れて、おおよそ2時間の滞在でした。なかなかこの規模の
展示会を開催するのは今後は難しいのではないでしょうか。7月の21日まで開催され
ているのでご興味のある方は是非行かれてみてください。
今回の展示会のもう少し前に、中の島にある「こどもの本の森」も見学してきました。
安藤さん温仕事の集大成といえる、各地に子供向けの図書館を寄贈するプロジェクト
の発端となった現場です。
こちらの見学記もまた、改めてブログにまとめますね。
今回は一枚だけ、お気に入りの写真を。
それではまた！
キッチン・家具・雑貨など、
実際に来て見て触れてみて下さい。
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